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【企業分析レポート】2025年上場のTENTIAL株式会社、会社の成長と睡眠市場の今後を成長予測

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「TENTIAL(テンシャル)ってどんな会社?」「最近よく聞くけど、どんな会社なの?」そんな疑問をお持ちの方へ。ここでは、投資の初心者の方にも分かりやすく、TENTIAL株式会社がどんな会社で、今どんな状況なのかを解説します。難しい言葉はできるだけ避け、会社の健康診断をするようなイメージで見ていきましょう。


TENTIALって、どんな会社?

TENTIALは、「みんなが元気で前向きになれる社会を作って、人々の可能性をグーンと引き出す!」ことを目指している会社です。そのために、「コンディショニング」(体の調子を整えること)を毎日の生活に取り入れることを提案しています。

何を作っているの?

主に、体の調子を整えるための特別な製品を作っています。

  • リカバリーウェア (RECOVERY WEAR):
    • 一番人気は「BAKUNE(バクネ)」というパジャマ。着ているだけで体がポカポカして血行が良くなり、疲れを軽くしてくれる特殊な繊維を使っています。普段着タイプの「MIGARU(ミガル)」もあります。
    • 一部は「一般医療機器」として国に認められていて、ちゃんとした効果が期待できる製品です。
  • インソール: 靴の中敷きです。足元から体のバランスを整える手助けをします。
  • リカバリーサンダル: 履き心地が良く、歩きやすいサンダルです。
  • その他: 機能性のある掛け布団など、色々な製品があります。

どうやって作って、売っているの?

  • 作り方: TENTIALは、製品のアイデアを考えたりデザインしたりすることに集中しています。実際の「作る」作業は、専門の工場にお願いしています(これを「ファブレス」と言います)。
  • 売り方:
    • 一番多いのは、インターネットの自社サイト (tential.jp) での販売です。ここで売上の9割以上を稼いでいます。
    • Amazonや楽天などのネットショップでも売っています。
    • デパートや雑貨屋さん、家電量販店など、実際のお店にも商品を置いてもらっています。最近は、自分たちのお店(直営店)も増やしています。

TENTIALは、どうやって大きくなったの?

TENTIALは、2018年にスポーツに関する情報サイトを運営する会社としてスタートしました。

  • 2019年: 会社名を「TENTIAL」に変え、自分たちで製品を作って売るビジネス(D2C)を開始。最初の製品はインソールでした。
  • 2020年: 大ヒット商品「BAKUNE」が誕生。
  • 2021年: 「BAKUNE」が一般医療機器として認められました。
  • 2022年: 東京に初めて自分たちのお店をオープン。
  • 2024年: 医療機器を作る許可も取得。
  • 2025年: 東京証券取引所グロース市場に上場!

最初はウェブサイトの会社でしたが、ヘルスケア製品を作る会社に変わり、どんどん資金を集め、お店を出し、ついに株式市場にデビューするまで、すごいスピードで成長してきました。


TENTIALが目指していること

TENTIALは、「健康じゃないと、心も元気になれない」という考えを大切にしています。病気になってから治すのではなく、毎日を元気に過ごせるように、体の調子を整える「コンディショニング」を広めたいと考えています。この想いが、すべての製品やサービスの土台になっています。


TENTIALの成績表 (お金の動き)

会社の成績がどうだったかを見てみましょう。(単位:千円)

項目2021年1月期2022年1月期2023年1月期2024年1月期2025年1月期
売上高 (いくら売ったか)442,746846,7252,033,7055,409,05112,837,419
営業利益 (本業での儲け)-42,904473,4991,452,975
当期純利益 (最終的な儲け)-109,276-350,722-12,592506,6531,061,168

売上高: 見ての通り、売上は右肩上がりに急成長しています! 特にここ2年は驚くほどの伸びです。これは、健康への関心が高まったこと、「BAKUNE」がヒットしたこと、新しい製品を出したこと、お得な会員制度を始めたこと、お店を増やしたことなどが理由です。

利益: 最初の頃は赤字(マイナス)でしたが、2024年1月期から黒字に変わり、儲けも急激に増えています。たくさん売れるようになったことと、製品の値段を見直して儲けやすくなったことが大きな理由です。ただ、会社が大きくなるにつれて、人件費や広告費も増えています。

儲け上手? (ROE): 株主が出したお金を使って、どれだけ上手に利益を生み出しているかを示す指標 (ROE) を見ると、2024年1月期は55.6%、2025年1月期は60.5%と、非常に高い数字です。これは、TENTIALがとても効率よくお金を稼いでいることを示しています。


TENTIALのお財布事情 (会社の体力)

会社がどれくらいお金を持っていて、どれくらい借金があるかを見てみましょう。(2025年1月31日時点)

資産 (持っているもの): 約62.6億円。前の年より約37.7億円増えました。現金や預金が増えたのが大きいです。 負債 (返さないといけないもの): 約39.7億円。これも増えています。 純資産 (本当に自分のもの): 約22.9億円。儲けが出た分、増えました。

安全性は?

  • 自己資本比率: 36.6%。会社のお金のうち、どれくらいが「自分のもの」かを示す割合です。前の年より少し下がりましたが、まだ安全圏と言えるでしょう。
  • 流動比率: 156.3%。すぐに返さないといけない借金に対して、すぐに使えるお金がどれくらいあるかを示す割合です。100%を超えているので、当面の支払い能力は十分です。
  • 有利子負債依存度: 17.1%。会社が持っているお金のうち、利子を払わないといけない借金がどれくらいあるかを示す割合です。この数字は低く、借金は多くないと言えます。

効率性は?

  • 総資産回転率: 2.05回。持っているお金を使って、どれだけ効率よく売上を上げているかを示します。活発に商売ができているようです。
  • 棚卸資産回転期間: 78.4日。作った商品がどれくらいの期間で売れるかを示します。在庫が長く眠っていることはなく、効率的に商品を売れているようです。

お金の流れは大丈夫? (キャッシュフロー)

会社にどれくらいお金が入ってきて、どれくらい出ていっているかを見てみましょう。

  • 営業CF (本業で稼いだお金): +26億円。前の年より大幅に増えました。商売が絶好調な証拠です。
  • 投資CF (将来のための投資): -3.7億円。お店を増やしたり、設備を整えたりするために、積極的に投資しています。
  • 財務CF (お金の貸し借り): +5.3億円。銀行からお金を借りたり返したりした結果、手元のお金が増えました。

フリーキャッシュフロー (自由に使えるお金): +22.3億円。本業で稼いだお金から投資に使ったお金を引いたものです。自由に使えるお金がたっぷりあるので、とても健全な状態です。


TENTIALの心配な点 (リスク)

どんな会社にも心配な点はあります。TENTIALが注意しているのは以下の点です。

  • インターネットのトラブル: ネット販売が中心なので、もしシステムが止まったら大打撃。対策はしていますが、リスクはあります。
  • 法律やルール: 健康に関する製品は、広告の仕方などに厳しいルールがあります。もし守れないと、大変なことになります。
  • 「BAKUNE」頼み: 「BAKUNE」が売上の大部分を占めているので、もし人気が落ちたら大変。新しいヒット商品が必要です。
  • 特定の工場への依存: 作る作業をお願いしている特定の工場に頼りすぎている面があります。
  • 人手不足: 会社が急に大きくなったので、優秀な社員を確保し続けるのが大変です。
  • ライバルの登場: 健康・睡眠市場は人気なので、ライバルがたくさん出てきています。
  • 株の価値が薄まる可能性: 社員へのご褒美として株をもらう権利(新株予約権)を渡しているので、これが使われると、一株あたりの価値が少し下がる可能性があります。

これからどうするの? (経営方針)

市場のチャンス: 世の中は健康ブームで、特に「睡眠」への関心が高まっています。これはTENTIALにとって大きなチャンスです。

TENTIALの作戦:

  • もっと色々な商品を出す: みんなが欲しいと思う商品をどんどん開発します。
  • ファンを増やす: 会員制度などで、リピーターを増やします。
  • 新しい市場を作る: 科学的な裏付けのある製品で、「睡眠」市場をもっと大きくします。
  • もっと有名になる: テレビCMなどで、TENTIALの名前を広めます。
  • 会社の中を強くする: 会社が大きくなっても大丈夫なように、内部の体制を整えます。

課題と取り組み:

  • 新しい商品を出し続けること。
  • 新しいビジネスや海外進出を考えること。
  • もっとたくさんの種類の商品を揃えること。
  • ネットだけでなく、お店でも買える場所を増やすこと。
  • お客さんとの関係を深めること。

研究開発はしてる?

TENTIALは、科学的な証拠をとても大切にしています。

  • 製品の効果を実験で確かめています。
  • 大学などと協力して、専門的な研究も行っています。
  • 医療機器を作る会社として、信頼性を高めています。
  • 新しい技術や素材をどんどん取り入れています。

日本の睡眠市場:2025年以降の市場予測と成長要因の要約

2025年以降の日本の睡眠市場について、その規模、成長要因、課題、そして将来の機会を分析しています。

エグゼクティブサマリー:

日本の睡眠市場は、健康意識の高まりと多様な製品・サービスの登場により、大きな変革期にあります 。2021年時点で、寝具などを含む睡眠関連市場全体は約1兆6,200億円規模で、特にスリープテック関連が約4,600億円を占め、成長を牽引しています 。2025年以降も市場は拡大が見込まれ、その背景には深刻な睡眠問題(経済損失 約15兆円/年)、健康意識の高まり、高齢化、技術革新があります 。個人の健康意識、高齢者ニーズ、AI/IoT技術、企業の健康経営が主な成長テーマです

日本の睡眠市場の現状:

  • 社会的背景: 日本は睡眠満足度が世界最低レベル (40%が不満) で、睡眠時間もOECD加盟国で最も短いと指摘されています 。この深刻な状況が、睡眠改善への強い需要を生んでいます 。
  • 市場セグメント:
    • スリープテック: ウェアラブル機器やアプリなど。市場規模は定義により95億円~4,600億円と幅があります 。
    • 寝具・マットレス: 2022年の寝具市場は約8,944億円 。マットレス市場も成長が見込まれます 。
    • 食品・サプリメント: 機能性表示食品などが急成長しており、2025年には982億円規模になるとの予測もあります 。
    • 医薬品: 処方薬や一般用医薬品も市場を構成しています 。
    • 医療機器: 睡眠時無呼吸症候群 (SAS) の治療装置市場は2024年に約763億円規模と推計されます 。
    • 関連サービス: 企業向けプログラムやコンサルテーションなど。BtoB市場は2021年度で約309.2億円です 。

2025年以降の市場予測:

各セグメントで持続的な成長が見込まれています。

  • スリープテック: 最も高い成長率が期待され、2027年には160億円 (矢野経済研究所) 、CAGR 15.3% (Spherical Insights) との予測があります 。
  • 睡眠サポート (セルフヘルスケア): 2030年には2,162億円に達すると予測されています (富士経済) 。
  • マットレス: CAGR 4.4%〜4.5%程度での安定成長が予測されています 。
  • SAS治療装置: CAGR 6.7%での成長が見込まれています 。
  • 治療用アプリ: 2030年には200億円規模の新市場になると予測されています 。

市場拡大の主な要因:

  • 健康・ウェルネス意識の高まり: 「質の高い睡眠」への能動的な関心 。
  • 高齢化: 高齢者層の睡眠関連ニーズの増大 。
  • 技術革新: AI、IoT、センサー技術による新製品・サービスの創出 。
  • スリープエコノミクス: 経済損失への対応としての市場成長 。
  • 健康経営: 企業による従業員の睡眠改善への取り組み (BtoB市場の拡大) 。
  • 政府の取り組み: 睡眠ガイドライン改訂などによる啓発活動 。

課題と考慮事項:

  • 競争激化: 新規参入が増え、製品の差別化が課題となっています 。
  • 価格感度: 高価格帯製品は経済状況の影響を受けやすいです 。
  • 規制環境: 薬機法や景品表示法などの遵守が必要です 。
  • 行動変容の難しさ: 生活習慣の改善を促し、維持することの難しさ 。

新たなトレンドと機会:

予防・ウェルビーイングへのシフト: 健康な人のパフォーマンス向上への貢献 。

パーソナライズ化: AIを活用し、個人に最適化されたソリューション 。

ウェルネスエコシステムへの統合: 食事、運動、メンタルヘルスとの連携 。

BtoBソリューションの成長: 特定産業向けの高度な睡眠管理 。

睡眠の「エンタメ化」: ゲーミフィケーションやスリープツーリズム 。

まとめ:TENTIALって、どうなの?

良いところ (強み):

  • しっかりした目標がある。
  • 科学に基づいた製品作り。
  • ネットとお店の両方で売る力がある。
  • データを活かした経営。
  • 「BAKUNE」という大ヒット商品がある。
  • 売上も利益も急成長していて、お金の稼ぎ方が上手。

心配なところ (弱み):

  • 「BAKUNE」に頼りすぎている。
  • 会社の急成長に、組織が追いつけるか。

チャンス (機会):

  • 健康ブームと睡眠市場の拡大という大きな波に乗れる。
  • 新しい技術を取り入れるチャンスがある。
  • 海外への挑戦も期待できる。

ピンチ (脅威):

  • ライバルがたくさんいる。
  • 景気が悪くなると、商品が売れにくくなるかも。
  • ルールが変わるかもしれない。

総合的に見ると… TENTIALは、今まさに波に乗って急成長している、とても勢いのある会社です。科学的な製品作りと上手な販売戦略で、市場での存在感を高めています。お金の面でも、しっかり稼げるようになってきています。

ただし、一つの商品に頼りすぎている点や、急成長に会社がついていけるかという点は、今後の課題です。

市場には大きなチャンスがありますが、ライバルも多いので、これからも新しい製品を生み出し、ブランド力を高めていくことが大切です。 将来性が期待できる、注目の会社と言えるでしょう。

(※このレポートは、公開されている情報をもとに分かりやすく解説したもので、株の購入をおすすめするものではありません。投資はご自身の判断でお願いします。)

出典:株式会社TENTIAL IRライブラリ

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Dr.カブアガール
Dr.カブアガール
Data Analytics Specialist
金融データ分析メディア「インベスター・ラボ」所長 兼 データアナリティクススペシャリスト。 日々変化する株式市場の海の中から、データという羅針盤を手に「隠れた成長企業」という宝の島を探し求める探求者。複雑な財務データや市場トレンドを分かりやすく紐解き、個人投資家の皆様の意思決定をサポートすることを使命に燃えている。チョコに目がない
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