銘柄分析

【5月15日の決算発表予定の企業決算予測】成長エンジン再点火か、回復軌道に乗るか?主要企業の行方

investorlab

2025年に向けた各社の業績見通しが出揃い始め、株式市場の関心も高まっています。今回は注目企業の理論株価とPEGレシオを算出しまとめました。さらに、これらのデータから各社の決算予測と今後の展望について、ご紹介します。

分析対象企業 財務データ・株価指標一覧

企業名決算期売上高経常利益(予,億円)最終利益(予,億円)1株益(予,円)1株配(予,円)PER(倍)理論株価(円)EPS成長率(%)PEGレシオ
キオクシア2025.03 予16,8932,610484.20.04.72,275.74黒字転換算出不能
野村マイクロ・サイエンス2025.03 予96012696.5255.880.010.42,660.3219.81%0.52
アシックス2025.12 予7,8001,150780109.826.032.43,557.5224.35%1.33
三菱UFJ FG2025.03 予18,60064.012.0算出不能算出不能算出不能
みずほ銀行 (FG)2025.03 予8,200326.813011.83,856.2421.99%0.54
T&D HD2025.03 予35,8001,9001,170227.880.013.63,098.0824.41%0.56
サイバーセキュリティクラウド2025.12 予50.010.06.968.45.024.81,696.329.62%2.58
GFA2025.03 予34.43.25.523.40.019.0444.60黒字転換算出不能

<算出根拠>

  • 理論株価: 提示されたPER × 2025年予想1株益 (EPS)
  • EPS成長率: (2025年予想EPS – 2024年実績/予想EPS) / 2024年実績/予想EPS × 100
    • 2024年実績/予想EPSがマイナス(赤字)からの黒字転換の場合は「黒字転換」とし、具体的な成長率は算出していません。
  • PEGレシオ: PER ÷ EPS成長率
    • EPS成長率が「黒字転換」または算出不能の場合は、PEGレシオも「算出不能」としています。
  • 三菱UFJ FG: 2025.03期の予想1株益(EPS)が「-」のため、理論株価、EPS成長率、PEGレシオは算出不能です。
  • みずほ銀行 (FG): 表記は「みずほ銀行」ですが、データ内容からフィナンシャルグループ全体の連結業績と想定して計算しています。売上高、経常利益の予想値がなかったため「-」としています。

主要企業の業績予測と株価分析:成長性と割安感を探る

2025年の業績予想が明らかになるにつれ、市場の期待と不安が交錯しています。半導体市場の動向、国内外の経済情勢、各社の戦略が業績にどう反映されるのか。本記事では、注目の企業群について、最新の業績予想と株価指標を分析し、その実力と将来性を探ります。

◆半導体・精密機器:回復と成長の二重奏

半導体関連では、キオクシアが注目されます。2期連続の最終赤字から、2025.03期には2,610億円の大幅な最終黒字転換を見込んでいます。1株益も484.2円とV字回復を計画しており、メモリー市場の市況改善が現実となれば、株価の再評価が進む可能性があります。PER4.7倍は、この黒字化を織り込みつつも、まだ上昇余地を示唆していると見ることもできます。

一方、半導体製造装置に不可欠な超純水製造装置を手掛ける野村マイクロ・サイエンスは、成長が継続する見通しです。2025.03期も増収増益を予想し、1株益は255.8円と前期比約19.8%増を見込んでいます。PER10.4倍に対し、PEGレシオは0.52と1倍を大きく下回っており、成長性を考慮すると割安感があると言えるでしょう。

◆消費・サービス:ブランド力と高成長の持続性

スポーツ用品大手のアシックスは、引き続き好調を維持する見込みです。2025.12期は売上高7,800億円、最終利益780億円と過去最高を更新する勢い。1株益も109.8円と約24.4%の成長が期待されます。PER32.4倍は市場の高い期待を反映していますが、PEGレシオ1.33は成長を加味すれば一定の妥当性がある範囲かもしれません。ブランド力とグローバル展開が成長を牽引します。

IT分野では、サイバーセキュリティクラウドが着実な成長を目指します。2025.12期は売上高50億円、1株益68.4円を計画。EPS成長率は約9.6%と堅調ですが、PER24.8倍に対してPEGレシオは2.58とやや割高感も否めません。継続的なサービス拡充と顧客獲得が成長の鍵となります。

◆金融セクター:安定収益と株主還元への期待

大手金融グループからは、三菱UFJフィナンシャル・グループみずほフィナンシャルグループ(データ上は「みずほ銀行」)が安定した収益基盤を示しています。三菱UFJは2025.03期に1兆8600億円の経常利益を見込むものの、1株益の詳細予想は未開示です。一方、みずほは2025.03期の最終利益8,200億円、1株益326.8円(前期比約22%増)と力強い成長を予想。PER11.8倍、PEGレシオ0.54と、成長性と比較して割安感があります。両社ともに増配計画を示しており、株主還元への意識の高さも伺えます。

生命保険を中心とするT&Dホールディングスも堅調です。2025.03期は最終利益1,170億円、1株益227.8円(前期比約24.4%増)を予想。PER13.6倍、PEGレシオ0.56と、こちらも成長期待に対して株価は比較的落ち着いている印象です。

◆その他注目企業:V字回復と成長期待

また、不動産関連や投資事業を手掛けるGFAは、2025.03期に最終黒字転換(5.5億円の最終益、1株益23.4円)を目指します。前期まで赤字が続いていただけに、計画通りの収益改善が実現できるかが焦点となります。PER19.0倍は、将来の成長への期待感が織り込まれていると考えられます。

◆総括と今後の展望

総じて、多くの企業が2025年に向けて成長や回復を見込んでおり、特にハイテク関連や金融セクターには力強い予想が目立ちます。PEGレシオが1倍を下回る企業には、成長性に比して株価が割安である可能性があり、投資妙味がありそうです。一方で、PERが高い企業は、市場の期待に応え続けられるかが試されることになります。

赤字からの回復を目指す企業にとっては、事業環境の改善とともに、構造改革や新戦略の成果が問われる重要な年となるでしょう。

投資家は、これらの業績予想や株価指標を参考にしつつも、各社の事業内容、競争環境、リスク要因などを総合的に分析し、中長期的な視点での判断が求められます。今後の四半期ごとの決算発表で、計画の進捗状況を注視していくことが肝要です。


免責事項:
本記事は提供された情報に基づき作成されたものであり、情報提供を目的としています。特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。筆者および情報提供元は、本記事の情報に基づいて被ったいかなる損害についても責任を負いません。

出典:Kabutan

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Dr.カブアガール
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Data Analytics Specialist
金融データ分析メディア「インベスター・ラボ」所長 兼 データアナリティクススペシャリスト。 日々変化する株式市場の海の中から、データという羅針盤を手に「隠れた成長企業」という宝の島を探し求める探求者。複雑な財務データや市場トレンドを分かりやすく紐解き、個人投資家の皆様の意思決定をサポートすることを使命に燃えている。チョコに目がない
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