銘柄分析

【企業分析】INFORICH (9338)、急成長継続か?ChargeSPOTの将来性と株価の妥当性を探る

investorlab

モバイルバッテリーシェアリングサービス「ChargeSPOT」を展開するINFORICH INC.(東証グロース:9338)。本記事では、最新の財務データと同社が過去に発表した決算情報から成長性と株価の妥当性を分析します。

会社概要:INFORICH INC.とは?

INFORICH INC.は、日本国内を中心に、香港、台湾、タイ、中国大陸などグローバルにモバイルバッテリーシェアリングサービス「ChargeSPOT」を提供しています。駅や商業施設、コンビニエンスストアなど、利便性の高い場所に設置されたバッテリースタンドから、手軽にモバイルバッテリーをレンタル・返却できるサービスで、急速に利用者を拡大しています。スマートフォンの利用が不可欠となった現代において、外出先での「充電切れ」という課題を解決するソリューションとして注目されています。

決算概要と今後の予測

決算期売上高 (億円)経常利益 (億円)最終利益 (億円)1株益 (円)1株配 (円)発表日
2023.12実績76.86.35.761.50.024/02/14
2024.12予想10717.520.6217.80.025/02/13予
2025.12予想15621.923.6245.225/02/13予

特筆すべき成長性:
2023年12月期の実績に対し、2024年12月期の会社予想では、売上高が約1.4倍(+39.3%)、経常利益が約2.8倍、そして1株益(EPS)は61.5円から217.8円へと約3.5倍に急拡大する見込みです。この驚異的な伸びは、ChargeSPOTの設置台数増加と利用率向上によるものと考えられます。
続く2025年12月期も増収増益を見込んでおり、売上高は156億円(前期比+45.8%)、1株益は245.2円(前期比+12.6%)と、成長の勢いは継続する見通しです。

株価分析:適正株価とPEGレシオ

1. 現在の株価水準(推定):
提供情報に現在の株価はありませんが、PER 15.8倍という情報があります。これが2024.12期予想EPS(217.8円)を基にしていると仮定すると、
現在の株価 = 217.8円 × 15.8倍 ≒ 3,441円
と推定できます。以下の分析はこの推定株価を前提とします。

2. 適正株価の算出:
適正株価の算出方法は様々ですが、ここでは将来の1株益(EPS)に現在のPERを乗じる形で、市場が現在の評価を維持した場合の株価水準を見てみましょう。

  • 2024.12期予想EPSに基づく場合:
    • 適正株価 = 217.8円 × 15.8倍 = 3,441円 (これが現在の株価水準と仮定)
  • 2025.12期予想EPSに基づく場合:
    • 適正株価 = 245.2円 × 15.8倍 = 3,874円

仮に現在のPER15.8倍が維持されるならば、2025年の業績達成時には株価3,874円程度が視野に入ると考えられます。ただし、PERは市場環境や成長期待によって変動するため、これはあくまで一つの目安です。

3. PEGレシオの算出:
PEGレシオは、PERを1株当たり利益成長率で割ったもので、成長性を加味した株価の割安度を示します。1倍程度が適正、1倍未満なら割安、2倍以上なら割高とされることが多いです。

  • EPS成長率の算出:
    2024.12期予想EPSから2025.12期予想EPSへの成長率を使用します。
    EPS成長率 = (245.2円 – 217.8円) / 217.8円 × 100 ≒ 12.58%
  • PEGレシオの計算:
    PEGレシオ = PER / EPS成長率(%)
    PEGレシオ = 15.8 / 12.58 ≒ 1.26

PEGレシオは約1.26となりました。これは、一般的に「適正範囲内だが、やや割高感も意識される水準」と解釈できます。しかし、2023年から2024年にかけての爆発的な成長(EPS成長率 約254%)を考慮すると、市場がその成長の持続性や確度をどの程度織り込んでいるかによって評価は変わります。2024年から2025年の成長率が鈍化しているように見えるのは、2024年の成長が非常に高いためであり、12.58%という成長率自体は依然として高い水準です。

投資判断への示唆

INFORICHはChargeSPOT事業の急拡大により、2024年にかけて目覚ましい業績成長が期待されています。2025年もその成長トレンドは継続する見通しですが、成長率は2024年と比較すると落ち着く予想です。

  • ポジティブ要因:
    • 圧倒的なEPS成長率(特に2023→2024年)。
    • ChargeSPOTの認知度向上と設置場所拡大による継続的な成長余地。
    • 市場が成長ストーリーを評価すれば、PERの上昇も期待できる。
  • 留意点:
    • PEGレシオ1.26は、急成長を加味しても中立的~やや割高感を示唆。
    • 2025年にかけてのEPS成長率の鈍化(それでも12.58%と高水準)。
    • 競争激化や新たな規制、海外展開におけるカントリーリスク。
    • 配当は現状ゼロであり、インカムゲインは見込めない(成長投資優先)。

まとめと今後の展望

INFORICHは、まさにグロース株の典型と言えるでしょう。2024年の業績予想は非常に野心的であり、これを達成できれば市場の評価は一段と高まる可能性があります。PEGレシオは絶対的な指標ではありませんが、今後の成長率の持続性や、新たな収益源の確保が、株価の更なる上昇の鍵を握ると言えそうです。投資家は、四半期ごとの業績進捗や、ChargeSPOTの設置台数・利用率の推移、そして海外展開の動向などを注視していく必要があるでしょう。


免責事項: 本記事は提供された情報に基づいて分析・作成されたものであり、特定の株式の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行うようにしてください。

参考データ:Kabutan

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Dr.カブアガール
Dr.カブアガール
Data Analytics Specialist
金融データ分析メディア「インベスター・ラボ」所長 兼 データアナリティクススペシャリスト。 日々変化する株式市場の海の中から、データという羅針盤を手に「隠れた成長企業」という宝の島を探し求める探求者。複雑な財務データや市場トレンドを分かりやすく紐解き、個人投資家の皆様の意思決定をサポートすることを使命に燃えている。チョコに目がない
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