決算分析

Laboro.AI、AIソリューション事業絶好調で大幅増益!CAGLA買収で成長を加速、2025年9月期第2四半期決算

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AIソリューション開発を手掛ける株式会社Laboro.AI(東証グロース:5586)は、2025年5月12日、2025年9月期 第2四半期(2024年10月1日~2025年3月31日)の決算短信を発表しました。売上高は前年同期比37.3%増の9億79百万円、営業利益は同205.3%増の2億5百万円と、大幅な増収増益を達成し、AI市場の活況と堅実な事業運営が鮮明となりました。

Laboro.AIの事業概要:AIで産業の新たな姿を創造

Laboro.AIは、「すべての産業の新たな姿をつくる。」「テクノロジーとビジネスを、つなぐ。」をミッションに掲げ、カスタムAIソリューションの開発・提供を主力事業としています。各業界のリーディングカンパニーと共に、オーダーメイドのAI「カスタムAI」を開発し、ビジネス変革や社会課題の解決に貢献しています。特に近年注目される生成AIやエージェントAIの技術革新を背景に、企業の競争力強化や人材不足への対応といったニーズに応える形で、幅広い産業でAI投資が活発化しており、同社にとって追い風となっています。

業績ハイライト:売上・利益ともに大幅伸長

当中間期の業績は、AIに対する旺盛な需要を背景に好調に推移しました。

勘定科目2025年9月期中間期 (百万円)2024年9月期中間期 (百万円)増減率
売上高979713+37.3%
営業利益20567+205.3%
経常利益20667+207.7%
中間純利益14245+214.1%
1株当たり中間純利益 (円銭)8.942.86
勘定科目2025年3月末 (百万円)2024年9月末 (百万円)
総資産2,8452,591
純資産2,5382,391
自己資本比率89.2%92.3%
勘定科目2025年9月期中間期 (百万円)2024年9月期中間期 (百万円)
営業活動によるキャッシュ・フロー27530
投資活動によるキャッシュ・フロー△3△5
財務活動によるキャッシュ・フロー51
現金及び現金同等物の中間期末残高1,8011,970

売上高は、新規顧客獲得が6件と順調に進んだほか、既存顧客との継続プロジェクトや新たなテーマでのプロジェクト獲得も進捗し、前年同期比37.3%増の9億79百万円となりました。

営業利益は、売上総利益が同43.6%増の6億79百万円と大きく伸長した一方、販売費及び一般管理費は人件費や採用費の増加があったものの、同16.7%増の4億73百万円に抑制されました。結果として、営業利益は前年同期比205.3%増の2億5百万円と大幅な増益を達成しました。これは、人員体制構築の進捗が期初の想定よりも遅れたことで、販管費が抑制された側面もあるとしています。

財政状態については、総資産は現金及び預金や契約資産の増加などにより28億45百万円(前期末比2億53百万円増)、純資産は中間純利益の計上により25億38百万円(前期末比1億47百万円増)となりました。自己資本比率は89.2%と引き続き高い水準を維持しています。

キャッシュ・フローについては、営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前中間純利益の増加や売上債権の回収が進んだことなどから2億75百万円の収入(前年同期は30百万円の収入)となりました。

人員戦略と成長のバランス:採用強化と生産性向上

同社は事業拡大に向けて積極的な採用活動を行っており、販売費及び一般管理費における人件費及び採用費は増加傾向にあります。2025年9月期中間期の販管費の対前年同期比増加率は16.7%であったのに対し、売上高成長率は37.3%と、売上高の伸びが販管費の伸びを大きく上回っており、生産性の向上が伺えます。

決算短信には「当中間会計期間は人員体制構築の進捗の遅れから、期初に想定していたよりも販売費及び一般管理費を要しなかった」との記載もあり、計画通りの人員増強がなされていれば更なる売上拡大や、あるいは販管費の増加が見られた可能性も示唆されます。今後、採用が計画通りに進捗し、増加した人員が売上成長に寄与していくかが注目されます。

今後の展望:CAGLA買収によるシナジー創出と連結体制への移行

Laboro.AIは、2025年4月1日付で株式会社CAGLAの全株式を取得し子会社化しました。CAGLA社は、企業向けデザイン及びシステムの企画・開発、特にグラフデータベース技術に強みを持ち、自動車産業をはじめとする顧客基盤を有しています。

この買収により、以下のシナジー効果を見込んでいます。

  1. 技術的シナジー: CAGLA社のグラフデータベース技術とLaboro.AIの生成AI/LLM(大規模言語モデル)の産業実装に関する強みを融合し、新たなソリューション開発やグラフRAG等を活用したプロジェクトの共同提案を推進。
  2. 顧客基盤の相互活用: CAGLA社の製造業を中心とした顧客基盤と、Laboro.AIの研究開発型産業におけるAI実装の強みを相互に活用し、事業拡大を目指す。

この企業結合に伴い、2025年9月期第3四半期より連結決算へ移行する予定です。連結業績予想については現在精査中であり、今後公表すべき事項が生じた場合には速やかに開示するとしています。

AI市場は引き続き活況であり、特に生成AI関連の需要は旺盛です。Laboro.AIは、技術力とコンサルティング力を強みに、カスタムAIソリューション提供で着実な成長を遂げています。CAGLA社の買収によるシナジー効果が具体的に業績にどう貢献してくるか、そして連結体制への移行後の新たな成長戦略に、市場の期待が高まります。

通期の業績予想(2024年11月12日公表時点の単体予想)

  • 売上高: 20億8百万円 (前期比32.5%増)
  • 営業利益: 2億50百万円 (前期比36.6%増)
  • 経常利益: 2億50百万円 (前期比36.5%増)
  • 当期純利益: 1億71百万円 (前期比28.4%増)

今回の第2四半期の進捗は、売上高で通期予想の48.7%、営業利益で82.0%に達しており、好調な滑り出しと言えるでしょう。連結業績予想の開示が待たれます。

(免責事項:本記事は公開情報に基づき作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断はご自身の責任において行うようにしてください。)

参考ページ:Laboro.AI 決算ページ

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Dr.カブアガール
Dr.カブアガール
Data Analytics Specialist
金融データ分析メディア「インベスター・ラボ」所長 兼 データアナリティクススペシャリスト。 日々変化する株式市場の海の中から、データという羅針盤を手に「隠れた成長企業」という宝の島を探し求める探求者。複雑な財務データや市場トレンドを分かりやすく紐解き、個人投資家の皆様の意思決定をサポートすることを使命に燃えている。チョコに目がない
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