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利益30%減の”悪決算”なのになぜ?くすりの窓口(+17.63%)の株価が急騰した3つの理由

investorlab

2025年8月13日に発表された、国内最大級の薬局・医療情報サイトを運営する「くすりの窓口」の第1四半期決算。その数字だけを見ると、大幅な株価の高騰が起こるような内容には見えないかと思われます。

  • 売上高: 23.4億円 (前年比-1.3%)
  • 営業利益: 2.9億円 (前年比-29.8%)

売上も利益も減少する「減収減益」は、通常、株価にとって強い売り材料です。しかし、翌日の市場は全く逆の反応を示し、株価は+17.63%という急騰を記録しました。

一見すると「悪い決算」で株価が爆上げしたこの現象。その裏には、市場が単純な数字の裏側から読み取った3つの重要なポジティブ要素がありました。

理由①:「悪材料出尽くし」と新業績予想が与えた絶大な安心感

今回の決算で最大の懸念材料は「令和6年度診療報酬改定」の影響でした。 これは、同社の中核であるメディア事業に大きな影響を与えうることが予想されており、市場は「業績が大幅に悪化するのではないか」という不安を抱えていました。

そのような状況下で、会社は今回、以下の対応を取りました。

  1. 従来の通期業績予想を一旦「取り下げる」
  2. 新たに「レンジ形式」での通期業績予想を開示する

一見、予想の取り下げはネガティブに見えます。しかし、市場が最も嫌うのは「不透明感」です。診療報酬改定の影響がどれほどか分からない状態が一番の恐怖でした。

そこに会社が**「売上高:98億円~102億円」「営業利益:13.5億円~16億円」**という具体的な数字の範囲(レンジ)を示したことで、不透明感が払拭されました。

これは市場に対して、「最悪の事態は避けられそうだ」「会社は影響をコントロールできると見ている」という強いメッセージとなり、「悪材料はこれですべて出尽くした」という安心感に繋がりました。この安堵感が、株価を押し上げる最大の要因となったと考えられます。

理由②:減益の理由は「未来への戦略的投資」と市場が判断した

営業利益が約30%も減少した理由について、決算短信では「SaaS事業における営業人員及び開発人員等の採用強化や、広告宣伝活動の強化といった戦略的な投資を継続した」ためと説明されています。

つまり、この減益は経営が悪化したからではなく、将来の成長の柱である「SaaS事業」を育てるための、意図した先行投資であるということです。

市場はこれをポジティブに解釈しました。目先の利益を削ってでも、未来の収益源に投資する会社の成長戦略を評価し、「この減益は将来の大きなリターンに繋がる」と判断したのです。

理由③:「SaaS事業」の力強い成長が示した将来性

今回の決算を事業別に見ると、その評価がより鮮明になります。

  • メディア事業(従来の中核事業):売上-4.6%
  • SaaS事業(成長事業):売上+33.3%

診療報酬改定の影響を受けたメディア事業が苦戦する一方で、戦略投資を行っているSaaS事業は+33.3%という力強い成長を遂げています。

投資家は、同社が従来のメディア企業から、より成長性が高く収益性も見込めるSaaS企業へと変貌を遂げつつあると評価し始めています。この事業構造の転換への期待が、株価を押し上げる強い追い風となりました。

まとめ:市場は「減益の質」と「未来のストーリー」を評価した

今回の「くすりの窓口」の株価急騰は、以下の好循環によるものと結論付けられます。

  1. 安心感の醸成: 市場が恐れていた「診療報酬改定」の影響について、新ガイダンスの提示で「悪材料出尽くし」となり、不透明感が払拭された。
  2. 減益理由のポジティブ転換: 利益減少の理由が、未来の成長エンジンである「SaaS事業への戦略的投資」であることが明確になり、むしろ成長戦略として評価された。
  3. 将来性への期待: 実際にSaaS事業が+33.3%と力強く成長していることで、会社の未来のストーリーへの信頼感が高まった。

表面的な「減収減益」という数字の裏にある、「不安の解消」「前向きな投資」「SaaSへの転換」という3つのポジティブな文脈を市場が正しく読み取った結果が、今回の株価急騰に繋がったのです。

出典:くすりの窓口 投資家情報

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Dr.カブアガール
Dr.カブアガール
Data Analytics Specialist
金融データ分析メディア「インベスター・ラボ」所長 兼 データアナリティクススペシャリスト。 日々変化する株式市場の海の中から、データという羅針盤を手に「隠れた成長企業」という宝の島を探し求める探求者。複雑な財務データや市場トレンドを分かりやすく紐解き、個人投資家の皆様の意思決定をサポートすることを使命に燃えている。チョコに目がない
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