投資部門別 株式売買状況から見る市場の動き(2025年5月第2週・第3週)- 東証株式市場レポート

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こんにちは!株式投資に興味をお持ちの皆さんに向けて、最近の株式市場の状況を分かりやすくお伝えします。今回は、東京証券取引所などが発表している「投資部門別 株式売買状況」のデータから、2025年5月の第2週(5/7~5/9)と第3週(5/12~5/16)の動きを比較し、今後の投資のヒントを探ってみましょう。

株式市場のプレーヤーたち

まず、株式市場で売買を行っている主なプレーヤーを簡単に紹介します。

  • 自己取引(自己計): 証券会社が自分のお金で株を売買することです。市場に活気を与えたり、株価を安定させたりする役割があります。
  • 委託取引(委託計): 私たち個人投資家や、企業、海外の投資家などが証券会社に注文を出して行う取引のことです。市場の取引の大部分を占めます。
    • 個人投資家: 一般の個人の投資家です。
    • 海外投資家: 日本国外に住む投資家(大きな組織から個人まで様々)のこと。日本の株式市場に大きな影響力を持っています。
    • 法人: 日本の企業(金融機関を除く事業会社や投資信託など)です。
    • 証券会社: 上記以外の、主に他の証券会社との間で行う取引などです。

市場の売買状況を見てみよう! (金額単位:億円)

それでは、具体的に各市場のデータを見ていきましょう。特に「個人投資家」と「海外投資家」の動きに注目してみてください。「差引」がプラスなら買い越し(買いが売りより多い)、マイナスなら売り越し(売りが買いより多い)を意味します。

1. 東証プライム市場(日本を代表する大企業が多い市場)

投資部門期間売り金額買い金額差引(委託)買い比率(%)
自己計5月第2週16,62318,912+2,289
5月第3週28,95727,665-1,292
委託計5月第2週152,910150,734-2,176
5月第3週264,591266,038+1,447
うち個人5月第2週38,46334,749-3,71423.1%
5月第3週68,51966,293-2,22524.9%
うち海外投資家5月第2週104,806108,446+3,64071.9%
5月第3週175,219181,198+5,97868.1%
総計5月第2週169,533169,646+113
5月第3週293,548293,703+155

<プライム市場のポイント>

  • 市場全体の活況: 第2週から第3週にかけて、市場全体の売買金額(総計)が大きく増加しています。これは市場が活発になったことを示しています。
  • 海外投資家: 第2週、第3週ともに買い越しを継続しています。特に第3週は買い越し額が増加しており、引き続き日本株に強気な姿勢が見られます。ただし、委託買いに占める比率は少し低下しました。
  • 個人投資家: 第2週、第3週ともに売り越しとなっています。海外勢が買っている局面で、利益確定などの売りが出ている可能性があります。委託買いに占める比率は若干上昇しています。
  • 自己取引: 第2週は買い越しでしたが、第3週は売り越しに転じています。

2. 東証スタンダード市場(中堅企業が多い市場)

投資部門期間売り金額買い金額差引(委託)買い比率(%)
自己計5月第2週245242-3
5月第3週415477+62
委託計5月第2週4,6464,636-9
5月第3週8,7208,656-64
うち個人5月第2週2,0492,113+6445.6%
5月第3週3,9583,669-28942.4%
うち海外投資家5月第2週2,3342,313-2149.9%
5月第3週4,3504,484+13451.8%
総計5月第2週4,8904,878-13
5月第3週9,1359,133-0.2

<スタンダード市場のポイント>

  • 市場全体の活況: プライム市場と同様に、スタンダード市場も売買金額が大きく増加しています。
  • 海外投資家: 第2週はわずかに売り越していましたが、第3週は買い越しに転じています。買い比率も上昇し、関心が高まっている可能性があります。
  • 個人投資家: 第2週は買い越しでしたが、第3週は売り越しに転じています。プライム市場の個人投資家と似た動きです。
  • 自己取引: 第2週は売り越しでしたが、第3週は買い越しに転じています。

3. 東証グロース市場(新興企業が多い市場)

投資部門期間売り金額買い金額差引(委託)買い比率(%)
自己計5月第2週206182-24
5月第3週382380-2
委託計5月第2週3,9653,982+17
5月第3週9,6289,633+5
うち個人5月第2週2,0342,108+7352.9%
5月第3週5,0454,978-6651.7%
うち海外投資家5月第2週1,8181,769-4944.4%
5月第3週4,3144,434+12046.0%
総計5月第2週4,1714,164-7
5月第3週10,01010,014+4

<グロース市場のポイント>

  • 市場全体の活況: グロース市場も売買金額が大きく増加し、活況を呈しています。
  • 海外投資家: 第2週は売り越していましたが、第3週は買い越しに転じ、買い比率も上昇しています。新興企業への関心も高まっているようです。
  • 個人投資家: スタンダード市場と同様に、第2週は買い越しでしたが、第3週は売り越しに転じています。
  • 自己取引: 第2週、第3週ともにわずかな売り越し(第3週はほぼ均衡)です。

4. 二市場合計(東証プライム・スタンダード・グロース+名証の合計)

投資部門期間売り金額買い金額差引(委託)買い比率(%)
自己計5月第2週17,07319,335+2,262
5月第3週29,75528,523-1,232
委託計5月第2週161,530159,362-2,168
5月第3週282,958284,346+1,389
うち個人5月第2週42,55438,977-3,57624.5%
5月第3週77,53974,959-2,58026.4%
うち海外投資家5月第2週108,959112,529+3,57070.6%
5月第3週183,883190,116+6,23366.9%
総計5月第2週178,603178,696+94
5月第3週312,713312,869+156

<二市場合計のポイント>

  • 全体の傾向はプライム市場と似ており、市場全体の売買代金が大きく増加しています。
  • 海外投資家は引き続き日本株全体に対して買い越し基調を強めています。
  • 個人投資家は全体として売り越しを継続しています。

今後の投資方針のヒント

これらのデータから、投資初心者の方が参考にできるポイントをいくつか挙げてみましょう。

  1. 市場全体の「温度感」を知る:
    • 全体の売買代金が増加している時期は、市場に注目が集まり、活気があると言えます。第3週はまさにそのような状況でした。
    • 逆に売買代金が減少している時期は、様子見ムードが強い可能性があります。
  2. 海外投資家の動きは大きな流れの指標に:
    • 海外投資家は日本の株式市場で非常に大きな資金を動かしており、その動向は市場全体のトレンドに影響を与えやすいです。
    • 今回のように海外投資家が継続して買い越している場合、市場は上昇基調になりやすいと考えられます。
  3. 個人投資家の動きと照らし合わせる:
    • 個人投資家は、海外投資家と逆の売買行動をとることがあります(「逆張り」と言います)。
    • 例えば、株価が上昇している局面で利益確定のために売ったり、逆に株価が下落している局面で買い向かったりすることがあります。自分の投資スタイルと照らし合わせて参考にしましょう。
  4. 市場ごとの特徴も意識する:
    • プライム市場は安定した大企業が多く、海外投資家の影響を受けやすいです。
    • スタンダード市場やグロース市場は、中小型株が中心で、個人投資家の比率が比較的高く、独自の材料で大きく動くこともあります。第3週は海外勢の資金がこれらの市場にも向かっている様子が見られました。
  5. 短期的な動きに一喜一憂しない:
    • これらのデータは1週間ごとの短期的な動きです。投資は長期的な視点も大切です。
    • 一時的な市場の変動に惑わされず、自分が投資する企業の成長性などをじっくり見極めることが重要です。

最後に

このレポートは、過去のデータに基づいて市場の状況を分析したものであり、将来の株価を保証するものではありません。また、特定の銘柄の売買を推奨するものでもありません。投資を行う際は、ご自身の判断と責任において、様々な情報を参考にしながら慎重に行ってください。

今回の情報が、皆さんの株式投資の一助となれば幸いです!

出典:日本取引所グループ

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Dr.カブアガール
Dr.カブアガール
Data Analytics Specialist
金融データ分析メディア「インベスター・ラボ」所長 兼 データアナリティクススペシャリスト。 日々変化する株式市場の海の中から、データという羅針盤を手に「隠れた成長企業」という宝の島を探し求める探求者。複雑な財務データや市場トレンドを分かりやすく紐解き、個人投資家の皆様の意思決定をサポートすることを使命に燃えている。チョコに目がない
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